武漢の旅 2010年3月8日
長春観
長春観の歴史は漢の時代から続き、最初は別の名前だったのが、王重陽が全真数を創設し、その7大弟子の一人 龍門派を創った丘長春の名前をもらって「長春観」としたそうで、おそらく丘長春は実際には訪れていなかっただろうということでした。
50名もの道士(出家)が修行している長春観は、大変立派でいくつもの建物があり、せっかくなのでそこの道長にお目にかかれないかと伺うと、
「今 大事な用で北京にでかけて留守だ」というのです。
「日本道観も全真教、龍門派なので この道観ともご縁があると思う、何かご連絡したいときはどちらにすれば良いでしょうか?」と中年の男性の道士に聞くと、その人の名前と方丈(女性で世界で始めて方丈という道長を統括する位につかれた道長だそうです)のお名前を伺い 道観の連絡先をうかがいました。
入り口に入ったところの「老子様」を祀ってある建物でお線香の番をしていた若い男性道士とふと目があい、互いに道士の挨拶をすると、彼はその後ずっと私達について道観の中を案内してくれました。19才で出家して今25才だというその目の涼しい 多くの修行者をつれて参拝にきますね」と伝えると、
「私はずっとここにいます」と笑顔で答えてくれました。
出家の志しの強さ、自分は一生をここで修行するという覚悟、あの目の涼しさはそこから出ているのです。
妙聴が中国の全真教の道観にいくと(正一教、陳先生などは妻帯し、出家ではありません)、どこでも日本よりずっと安心するのは、皆、道士が出家だからなのです。 ですから出家の妙聴にとっては日本や台湾のように違和感が無いのです。
皆が当然のように道教の道一筋に生きている、そこに迷いもなく、他に目を移すことも無い。そのすがすがしさがとても心を落ち着かせてくれるのだと思います。
そして奥の建物まで進み、「老子様」に一番大きなお線香を上げさせていただき、心から祈ってきたことは言うまでもありません。皆さんにその気が届いたでしょうか?
武漢の旅 2010年3月8日
方丈の住まい
そして、沢山の神々が祀られた建物の奥に 方丈が住まれる立派な建物があります。
この長春観の道長は女性で、湖北省の道教協会の会長でもある方で、世界ではじめて女性で「方丈」という位をいただいて最近新聞にも載った方だそうです。
ただの道長よりずっと偉い位なのだそうです。
そしてその方丈が住まれる建物は、方丈がお出かけのときは誰も中に入れないのだそうですが、案内をしてくださった方丈のお弟子さんという中年の女性が妙聴を中に招き入れて下さり、中で方丈のお姉さまという年配の女性ともご挨拶し、「これが方丈の携帯電話です。 今、北京に出かけていますが、いつでも電話をしてください。」といわれました。
中には方丈が法衣を着られたふくよかなすてきな写真が飾ってあり、思わず手を合わせましたが、なにか胸があたたかくなる笑顔は「よく来ましたね」と微笑んでいるようで、タオイズムのご縁を感じたひとときです
そして皆さんに笑顔で送られて、すでに5時をまわり、西王母が祀られている建物も閉まっていたので、では閉館ですから失礼しましょうと、最後に残ったお線香と道教の黄色い札を燃やして、「財産の神様」に捧げて、その長春観を後にしました。
そして、北京では呉誠真方丈と会見することができました