呉漢清道士(左) 陳槐中(法名・大騰)大法師(中) 陳榮太道士(右)
無事に道士の位を昇進
二〇〇七年十一月十日から十四日までの四泊五日、早島妙瑞道長に率いられた日本道観スタッフ及び助教を中心とした五十七名のメンバーは、台南市の祀典興濟宮にて「登刀梯奏職儀礼」に参列した。これは道士が道長を継承する時に行われる大変珍しい儀礼で、陳榮盛大法師は今から五十年前に同じくこの儀礼で道長を継がれたのだそうだ。そして五十年後の十一月十二日、ご子息・陳槐中道士が道長を受け継ぐために、その儀礼に挑んだのである。 十一月といってもまだ最高気温は三〇度近くになる台南は、広い道路が封鎖され、この儀礼の準備から携わった道士たちに支えられ、学者、メディア、そして道教信者の人々で溢れかえり、その熱気で熱く燃えていた。
登刀梯奏職儀礼とは、道士が天の神々に道長となる許可を受けるべく、刀でできた天に続く三十六段の梯子を登り、頂上でポエ(神の意思を占う)を行うことで、神からの許しを受けるという、感動的な儀礼である。道教(天師道)の最高指導者である第六十四代張天師(張源先氏)も来られて、最高の盛り上がりとなった。 共に修行してきた道士たち、高尾から駆けつけた道士団、そして妙瑞道長とともにVIP席に招待された日本道観一行、また会場に詰めかけた道教信者の人々がかたずをのんで見守る中で、陳槐中(法名・大騰)大法師は立派に梯子を登りきり、陰陽の札も一回でそろい、会場は歓声と大きな拍手に包まれた。 こうして、天來大先生のころより深い交友のあった台南市道教会理事長、陳榮盛大法師のご子息の陳槐中氏は、正式に天から認められて無事道長の位を継承されたのである。同じく道士の位昇進に挑んだ陳榮太氏、呉漢清氏も一回で成功、通引官を勤めた廖 志瑋 道士も含めこの日、天に続く梯子に登った四名の修行者たちは、その快挙を見届けた道士、観衆とともに、一生忘れることのできない、道教の修行における貴重な一歩を踏み出したのである。
陳槐中大法師は、「今日の日を迎えられたのは、自分のことのように共に準備をし、成功を祈ってくれた仲間たち、そして協力してくださった人々、そして日本から駆けつけてくれた日本道観のみなさんの力があってこそなのです。決して私一人で歩んできた道ではありません」としみじみ語っておられた。そしてその瞳には、道長を受け継ぎ、一生をかけて道長として人々の平和や幸せを守ってゆく覚悟が光り、その姿は天の気を受けてますます大きく見えたのである。この記念すべき儀礼に立ち会えたことで、日本道観と台南市道教会との「道」でつながる縁は、いっそう絆を深めた。
登刀梯奏職大典前日(2007.11.11)
登刀梯奏職大典(2007.11.12)
祝賀会・昼食会(2007.11.12-13)
空港で台南市道教会の皆様から熱烈歓迎を受けた。
車での移動も白バイ先導のVIP待遇!
大先生の書の色紙と掛け軸を贈呈
日本道観一同、浅野春二助教授、台南市道教会の皆様で記念撮影
陳先生を御導師として妙瑞道長、妙聴副道長が
天壇天公廟・三清道祖の前で儀礼をされた 歴史的瞬間
この度、旧暦二月十五日(三月二十四日)の道教節(老子祭り)に台南市を訪れた早島妙瑞道長以下、日本道観一行(四十五名)は、台南市道教会・陳榮盛理事長をはじめとする道教会そして台南市の皆様の熱烈歓迎に、熱い感動の時を過ごした。
多忙なスケジュールの中、台南市市長・許添財氏もじきじき駆けつけ市をあげての温かい歓迎は、一同の忘れられない大切な思い出となった。
昨年、嗣漢天師府にて正式に允可を受けられた早島妙瑞道長と早島妙聴副道長は、正統鹿耳門聖母廟と天壇天公廟にて台南市道教会の道士と共に儀礼を行い、日本道観一行も参列し道教の神々に礼拝した。
妙瑞道長は儀礼の中で今回参加した日本道観一同の名を読み上げ、旅の安全と”道“の成就を祈願されたのである。
妙瑞道長と妙聴副道長は、二十~二十五日の夜まで台南市道教会で道教節の儀礼に参加。今回の旅には陳榮盛理事長と親交の深い國學院大學・浅野春二助教授も日本の研究者として参加されており、道教に関するいろいろなお話を伺うことができた。また、台湾の研究者である全国立台湾科技大学・徐福教授にもお目に掛かることができ、道家の哲学の話題に花が咲いた。
今から三十六年前に天來大先生が結ばれた台南市道教会とのタオの縁が、この多くの出会いと交流の旅、そしてこの道教儀礼に結実し、更なる発展への確実なる一歩を踏み出したのである。
台南市道教会 (2005.3.22~25)
興済宮 (2005.3.23)
開基玉皇宮 (2005.3.23)
正統鹿耳門聖母廟 (2005.3.23)
台湾首廟天壇 (2005.3.23)
教え継がれて
今に息づく
早島天來大先生の道
台南市道教会より贈呈された記念の額。「道気常存」と記された文字には天來大先生が広められた道の教えと気が“いついつまでも生き続けますように”との願いが込められている。
仁徳ある聖人の出現時にのみ
人目に触れる
という
麒麟が二体鎮座し
その徳の高さを物語る
2004年5月8日~10日 台湾
嗣漢天師府首席顧問の聘書
台南市道教会首席顧問の聘書
(天來大先生)
嗣漢天師府第六十四代天師・張源先先生より、
嗣漢天師府首席顧問(妙瑞道長)の、そして顧問
(妙聴先生)としての認証式(5月9日/嗣漢天師府にて)
嗣漢天師府首席顧問の聘書
(妙瑞道長)
嗣漢天師府顧問の聘書
(妙聴先生)
台南市道教会理事長・陳榮盛(大法師)先生と一緒に。
妙瑞道長が手にしている「母の日」の素敵なお花は、
台南市道教会でいただいたもの(5月9日)
陳先生が一緒に名所をあちこち巡り、丁寧に説明してくださった
妙聴先生の右側は台南市東嶽殿管理委員会常務委員 兼
祭典組長 他・陳進海大進法師(東嶽殿にて)
東嶽殿に祀られる地獄の神様
攝魄將軍
范大神
范將軍
謝將軍・催魂將軍
行業神信仰文化展は南方俗民物質文化資料館 徐瀛州先生が台南縣と共同企画され、 日本道観が協力展示を行うことになりました。2010年2月7日からスタートしたこの展示会は、 春節の時期を迎え多くの参観者で賑わっていました。
日本道観の展示/掛け軸に合わせて特注のケースが使われた
パンフレットにも「日本道観から22点の展示協力があり、
素晴らしい台日宗教文化交流となった」と紹介されている
右から徐瀛州先生、台南市道教会陳榮盛理事長、
日本道観早島妙聴副道長、台南縣政府文化處葉澤山處長、
台南縣政府文化處 蕭壟文化園區 黄宏文主任
行業神信仰文化展全体の様子。
壁のデザインにも日本道観所蔵書籍の絵が使われている
二月九日(月)、早島妙瑞道長と妙聴副道長は、天來大先生に呼ばれるかのように、台湾へと向かう飛行機に乗った。この訪台は、そのわずか一週間前に手にした道教関係の書物に|台南の道士、陳榮盛氏|という記述を目にしたことで急拠決定したものだった。
「久しぶりに台南の陳先生に会いにいきましょう! 連絡しなさい」と言われる妙瑞道長の脳裏には、天來大先生と訪れた台湾旅行の思い出が彩やかに浮かび上がっていたのである。
そして、陳榮盛大法師との再会は、互いにありし日の天來大先生の思い出に花が咲き、龍門派伝的第十四代を継いだことを改めて歓迎祝福され、合わせて天來大先生に台南市道教会首席顧問の名誉職を、妙瑞道長そして妙聴副道長は顧問に就任するという急な展開となった。
続いて訪れた嗣漢天師府でも、張源先第六十四代天師に歓迎され、陳先生も含めて張天師ご夫婦と和やかな交流の時を持った。そして、天來大先生には嗣漢天師府首席顧問、妙瑞道長、妙聴副道長は顧問に就任し、これからの嗣漢天師府の発展、そして台湾道教会と日本道観の交流によって、また新たな道が開かれることを確信して別れを告げたのである。
その後も陳先生の案内で高雄、そして台南の三つの大きな道観に招待され、まさしく熱烈歓迎を受けた。台湾での三泊四日は終始天來大先生の思い出話に花が咲き、天來大先生に導かれた夢のような旅だったのである。
台南市道教会(2004.2.10)
嗣漢天師府 (2004.2.10)
高雄道徳院(2004.2.10)
正統鹿耳門聖母廟(2004.2.11)
慶安宮(2004.2.11)